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あっちこっちシアターインフォ(八戸情報誌 amuse 2017年04月号)

文:大澤苑美(八戸市芸術環境創造専門員)

新美術館で逢いましょう、次なるステージへ

誌面表示 このコーナー、演劇やダンスにまつわることを綴るページであるけれど、今日は、美術の話題から、“次なるアートステージ”について思いを馳せてみようと思う。

私が八戸に来て、文化政策に携わってまる6年。南郷アートプロジェクトは過疎地域の優良事例ということで総務大臣賞を、はっちは地域の文化環境の創造に功績があった文化施設ということで地域創造大賞(総務大臣賞)を、八戸工場大学も、産業観光まちづくり大賞で特別賞を受賞と、この6年間に八戸市で文化政策として取り組んできた事業は、おかげさまで一定の評価を得ることができた。見た目でパッとわかる成果こそ少ないかもしれないが、携わる私たちとしては、八戸のアートシーンに関わる人たちの層がじんわりと厚く広くなっている手ごたえを感じている。

そんなタイミングで、新美術館の建て替え! 八戸のアートシーンを次なるステージへと引き上げる絶好のトピックスである。すでにアートの実践を6,7年重ねており、ソフトのストックの上にハードを考えるというラッキーな状況である。設計は、2月末の公開審査会で、西澤徹夫建築事務所・タカバンスタジオ設計共同体に決まった。

そんな中、この美術館最後の展覧会「虹の上をとぶ船」が開催され、宮崎駿監督のジブリ映画「魔女の宅急便」に登場する絵画のモチーフとなった大型版画が展示されるとあって多くの人が訪れた。浜で生きるということに対する痛いほどまっすぐなまなざしや、指導にあたった坂本先生の熱心さ、また八戸というまちが持つ生活文化、鑑賞者自身の人生経験や知識も重なって作品の深みが増し、大きな感動を得た人も多かったのではも多かったのではないだろうか。
これらの版画は、1956年から1970年代に制作されたものだ。八戸の中学生たちが美術教育活動の中で生みだしてきた白黒の世界。その絵には、個人名すらない。私たち八戸人にとって価値ある作品とは何なのだろうかと考えさせられる。
決して著名な美術作品だけに価値があるのではない。本当に美しいものは何か、価値あるものはなにか、その受容と解釈、価値付けは、私たちの文化的経験や教育がはぐくむものでもある。次なる美術館は、アートエデュケーション、ラーニング、といったことが柱になる。まさに、示唆的な、最後の展覧会であった。

演劇人も、音楽ファンも、文化は疎いと思っているあなたにも、八戸地域の我々には必ず関係する美術館として、生まれ変わるはず。開館予定は平成32年度末。新しい美術館で逢いましょう。


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