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あっちこっちシアターインフォ(八戸情報誌 amuse 2014年12月号)

文:柏井容子(はちのへ演劇祭実行委員会副実行委員長)

シアター2でお祭り(演劇)騒ぎ

誌面表示  昔からお祭りや縁日などの空間が好きだ。神社の境内、夜というのが雰囲気をかきたてる舞台装置なのだろう。普段は閑散としている空間に提灯が灯り、屋台が軒を連ねる。いつもと違う感覚。一年に一度しか見られない神楽。お祭りには特別な感じが付きまとう。お祭りだからいつもと違う人になれる。
 2012年からスタートした、はちのへ演劇祭。私はこれに初年度から参加している。翌年の第二回はちのへ演劇祭では実行委員として動いた。そして第三回に至る。
 演劇祭と銘打っている以上、「演劇のお祭り」にしたい。その想いはずっと私の中にあった。観るよりも、参加するほうがもっと楽しい。演劇をやっている人もそうでない人も、みんなひっくるめてお祭り騒ぎができたらいいのに。八戸のど真ん中である“はっち”でできたらどんなに楽しいだろう。そんなことを考えているときに、一人の名前に出会った。それが「中屋敷法仁」である。
 私にその名前を教えてくれたのはMだった。彼女は高校生のとき、演劇の地区大会で観た中屋敷さんの脚本と上演作品がいかにすごかったか(当時、中屋敷法仁氏が執筆した『贋作マクベス』が、第49回全国高等学校演劇大会で最優秀創作脚本賞を受賞。)を熱弁した。百聞は一見に如かず。早速『贋作マクベス』(晩成書房「高校演劇Selection」2004 上 所収)を取り寄せてみた。十代の高校生が書いたと思えない筆致に、呆然。高校生の私が観たらどんなに衝撃的だっただろう。
 私は中屋敷さんの情報を集めた。高校生だった中屋敷さんは現在、劇団「柿喰う客」の代表として、また、気鋭の若手演劇人として精力的に演劇活動を行っている。舞台DVDを購入してみた。どの作品も「息ができなくなるほどの密度の濃さ」が画面から伝わる、濃密なものだった。こういう演劇を生で観たい。そして、自分もその息苦しさの中で芝居をしてみたい。そう思わずにはいられないくらい、私にとっては衝撃だったのである。
 そんな中屋敷さんに、演劇祭に来て欲しいとツイッターを使ってメッセージを送ったのは私である。あの時、スマートフォンを傍らに置いてそわそわしていたのを覚えている。まるで、好きな人からの返信を待つかのように。
 そうして中屋敷さんが第三回はちのへ演劇祭に来てくれることになった。これは紛れもなく、Mの“中屋敷愛”のおかげだ。中屋敷さんに逢ったら、まずこう言おう。「楽しいお祭りにしましょう」と。
 第三回はちのへ演劇祭ではキャストとスタッフを募集中です。キャスト希望者は12/7のオーディション必席。応募〆切は11/30ですが、スタッフは随時受け付け中なので、迷う暇なくお申し込みを!演劇をやったことがない人も、やってる人も、みんなで楽しい舞台を創りませんか?皆さんの参加をお待ちしております!


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