あっちこっちシアターインフォ(八戸情報誌 amuse 2014年7月号)
文:しもさき博之/BeFMパーソナリティ
「優しい悪夢」って知ってる?
「芸能田中組」が解体してから早ん十年。
そもそも、その「田中組」の名前を知らぬ方のほうが多かろう。
それは二人の若ェモンが、勢いだけで立ち上げたプロデュース・チーム。
5回の本公演と小さなアトリエ的な公演を10数回、途中に数年の休眠期間を経ていきなりの“解体宣言”以降は、「大黒屋&伊藤屋」と、それぞれの実家の屋号を名乗るユニットとして、なんかの拍子にちょこちょこっとお騒がせしてきた、そんなお芝居チームです。
二人の若ェモンは、いつの間にか二人のオジサンになっておりました。
そんなオジサン二人。
一人は激務に追われ一人は街中から引越し、その昔「2時間の稽古の後に3時間は呑んでいた」と言われた馴染みのあの店のカウンターに並んで腰を下ろす機会もめっきり少なくなり、それぞれウエストのサイズや 尿酸値を気にする生活。
ナニかの拍子、顔を逢わすたびの決まり文句が、「嗚呼、芝居がやりたいねェ。」
琥珀のグラスに溶かして呑み込む日々。
そんな時に、ひょんなトコから沸いた話。晴天の霹靂的な今回の公演です。
月並みな表現ではあるが「美女と野獣」 その比率は1:6。
まるで“白雪姫と七人の小柄な人たち(一人病欠)”みたいな感じでしょうか?年齢は二十代からン十代。
気が付けば団体名も無い、「大黒屋&伊藤屋プロデュース もろびとこぞりて笛を吹く」なのでございます。
ある意味“ドリームチーム”ですよ?
本職より芸達者と言われてる“アマチュア落語家”、“歌う踊り子”として全国にファンを抱えるおねいさん、二十代前半ながらもケーブルTV・ラジオとレギュラーを持つ“若手お笑いコンビ”、んでもって八戸演劇界の重鎮、あの方に御参加いただきました。そう、“あの方”です。
んでもって、ストーリーは3つ。
似てるよーで似てないよーで、よく判りません。とりあえず楽しい作品を御用意させていただきました。
“感動”とか“涙”とか、そんなのぜーんぜん縁の無い芝居です。
「日々の暮らし」とはちょっと違う、「居心地の悪さ」を味わってみたい方、御光臨をお待ちしております。